リモートデスクトップ方式は、VPN方式、仮想デスクトップ(VDI)方式と並んでテレワークの際に導入されるリモートアクセスツールの一種です。リモートデスクトップ方式の特徴や仕組みを詳しく紹介します。
リモートデスクトップは、手元の端末から社内PCのデスクトップ画面を転送し、遠隔操作する仕組みです。
実際にデータ処理を行うのは遠隔操作される社内端末なので、オフィスで勤務している場合と同じ画面で業務ができるため、テレワークに向いています。
通信は暗号化されており、手元の端末に情報が残らないのでセキュリティが高く、他のリモートアクセスツールの種類と比べて機能が豊富です。
参考元:総務省テレワークセキュリティガイドライン第5版PDF
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000752925.pdf)
リモートデスクトップはさまざまなサービスや製品がありますが、テレワークでも出勤時と同様の仕事量をこなすためには、セキュリティはもちろん、管理機能やサポート体制、通信の軽さなどが整っているリモートデスクトップを選びましょう。
テレワーク導入後に後悔せず、快適にテレワークができるリモートデスクトップのチェックポイントは5つあります。それぞれの詳細と、5つに当てはまるリモートデスクトップを紹介します。
テレワークの際には、通信を盗み見られないように暗号化することで情報漏えいを防止のリスクを低下できます。特に、セキュリティ性の高いAES256bit暗号化を使用しているリモートデスクトップがおすすめです。
強固な暗号化が採用されているリモートデスクトップなら、ネット上のやりとりはもちろん、メールやファイル、リモートデスクトップでの画面転送の通信なども暗号化されていることでセキュアな通信環境を実現します。通信が暗号化されているリモートデスクトップなら、別途VPNを導入するケースは少ないでしょう。
リモートデスクトップの特徴でもあるのが、豊富な管理機能。ユーザーの権限管理やアクセス管理などができ、なりすましや不正アクセスを防止します。
アクセスや接続時間のログが取得できるほか、リアルモニタリング機能で遠隔地の各PCの画面も見ることが可能。業務管理や生産性の向上に大きく役立ちます。
リモートデスクトップは外国製も多く、サービスによっては外国語でのサポートのみということも。ネット上では日本語に翻訳することはできますが、日本語対応のカスタマーサポートやマニュアルがあると便利です。
特に中小企業は、情報システムの専門部署がなくIT管理リソースを大幅に割くのは難しいため、すぐに問題を解決できる日本語のサポート対応可能なリモートデスクトップをおすすめします。
フレームレート(fps)は、1秒間に表示する画像の枚数を表します。リモートデスクトップは画面転送を行うため、フレームレートは快適な業務を行うための重要ポイントです。
通信環境にもよりますが、fps24~30であれば特に遅れを感じることなく作業ができるので、リモートデスクトップを選ぶ際にはチェックしましょう。
トラフィックは、通信の際に転送されるデータ量(パケット量)のこと。ネットワークトラフィックは製品によって異なり、トラフィック量が少ないほど通信を圧迫せずスムーズな作業が可能です。一方で大容量のトラフィックが必要になると、接続に時間がかかったり切れたりといったトラブルに繋がります。
スムーズにテレワークを進めるためにも、ネットワークトラフィックもチェックしておきましょう。
では、実際にリモートデスクトップを導入した場合のメリットを見てみましょう。
リモートデスクトップ方式はオフィス内のパソコン画面を遠隔で操作しているだけであり、操作側の端末に情報が残ることはありません。
データを社外に持ち出す必要がないため、情報漏えいのリスクが低く、セキュリティが高いです。リモートデスクトップを利用することで、テレワークで使用するPCから重要なデータが流出してしまう可能性を軽減できます。
リモートデスクトップは、PCだけではなくタブレットやスマホにも対応可能(※)。操作側の端末性能に依存せず、端末で遠隔先PCを遠隔操作できます。
手持ちの端末ではアクセスできないアプリケーションでも社内でPCと同じ環境での操作できるので、PCが手元になくても情報確認や作業ができ、業務効率がアップ。
特に建設現場でCADや図面を操作したい場合や、営業が出先から社内情報を確認したい場合など、テレワーク以外でも好評を得ている機能です。
※各社のサービスによって対象機器が異なります。
リモートデスクトップ方式は、接続時間の設定やユーザーの管理等、管理機能が充実している点がメリットです。管理機能を活用することで、多くの社員の労働時間や業務管理がしやすくなります。例えば、制御するPCをグループで管理できる機能やユーザー一括登録機能など、ニーズに合わせた機能が豊富。ユーザーのPC接続可能時間を曜日別に設定できる機能は、社員のテレワーク利用時の長時間労働や深夜の不審なアクセスを防止できるため、セキュリティ向上にも繋がります。
一方、リモートデスクトップ方式を導入する前に知っておきたい注意点についてもまとめました。
リモートデスクトップ方式は社内PCにアクセスするため、社内PCの電源管理を行う必要があります。
社内PCの電源が切れると接続ができないため、テレワークでも出勤時間の前と後に誰かが社内PCの電源管理をしなければなりません。
電源に関する問題点を解決するためには、電源管理システムのWOL(Wake on LAN)を併用しましょう。WOLはPCやサーバーの電源のオンオフを司るシステムです。リモートデスクトップ方式のサービスとセットで販売されていることも多いので、チェックしてみてください。
リモートデスクトップは通信回線の影響を受けやすく、通信環境によっては通信速度が低下。テレワーク勤務者全員が社内ネットワークに常時接続して通信を行うことになるため、通信回線が混雑したり、回線に何らかの障害が発生したりすると通信速度が遅くなってしまうことがあります。
通信速度の低下は通信環境やPCのCPU使用率を確認するほかに、画像転送の早さを表すフレームレートに注目しましょう。フレームレートが高ければ遅延は少なく、リモートデスクトップの動きが滑らかになります。
リモートデスクトップ方式の仕組みは前述したとおりですが、その中でも利用するシステムやサービスによって3種類の構成に分かれます。それぞれの構成を見ていきましょう。
参考元:総務省テレワークセキュリティガイドライン第5版PDF
(https://www.soumu.go.jp/main_content/000752925.pdf)
社内のネットワークにVPN接続を行った後、OS標準の「リモートデスクトップ接続」を使用して接続する構成です。すでにOSに搭載されている機能なので、他の製品等を別途導入する必要がなく、すぐにテレワーク環境を構築することが可能です。
なお、Windowsを利用するリモートデスクトップはWindows10以上に標準搭載されている機能なので、使用する端末が該当するか確認しておきましょう。
社内ネットワーク内に設置したPCをあらかじめクラウドサービスと同期させ、サービスを通してテレワーク端末から社内ネットワーク内に設置したPCに接続する構成です。
VPN接続が必要ないためVPN環境を構築する必要がなく、テレワーク勤務者の増減に応じて拡張や縮小など柔軟に対応できます。
社内ネットワーク内に設置したPC等の端末とテレワーク端末に、それぞれ専用アプリケーションをインストールし、そのアプリを通して接続する構成です。専用アプリケーションをインストールする必要がありますが、クラウド式であれば短期間での導入も可能。
無料トライアル体験を行っている製品も多いので、動作環境の確認を行いましょう。
VPNとリモートデスクトップは、どちらもテレワーク環境を整えるために役立つリモートアクセスツールに分類されますが、明確な違いがあります。
リモートデスクトップ方式は社内にあるPCのデスクトップ画面を手元のPCに転送して操作するツールであり、VPN方式は通信を安全に行うための仮想通信回線です。仕組みの違いやどちらを選ぶのが良いかなど、導入前に知りたい情報を解説します。
リモートデスクトップとVPNの併用が推奨されることがありますが、接続方式や使用する状況によってVPNがあったほうが良いか、なくても問題ないかが変わります。
リモートデスクトップが通信暗号化している場合は併用する必要がなく、導入コストや管理リソースだけがかかってしまうことも考えられます。一方で必要な場合もあるので、状況によって併用の判断をしましょう。
リモートデスクトップ(RSD)と仮想デスクトップ(VDI)もVPN同様、リモートアクセスツールに分類されます。
どちらも画面転送をする点は共通していますが、リモートデスクトップは社内PCにアクセスするのに対して、仮想デスクトップはサーバー上の仮想化されたデスクトップにアクセスする仕組みです。コストや導入のしやすさも異なるため、どちらが向いているかチェックしてみましょう。
リモートデスクトップ方式は、社内PCのデスクトップ画面を転送し、オフィスと同じ業務を可能にするリモートアクセスツールです。テレワーク端末にデータ保存しないため、情報漏えいやマルウェア感染のリスクを低減。
さらに管理機能が充実しているので社内PCの管理や社員の勤務管理をしやすい等のメリットがあります。セキュリティの高さとコストを両立した、中小企業におすすめのサービスです。
本サイトでは、テレワーク向けの「リモートデスクトップ方式」「VPN方式」「仮想デスクトップ(VDI)方式」をニーズ別に紹介しています。リモートアクセスツールをお探しの方は、ぜひ参考にしてください。
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自宅や外出先でオフィス出勤時と同じアプリ、システムを利用でき、オフィスと同等の業務・セキュリティレベルを確保できる方式の
リモートアクセスツールの中から、企業が持つテレワークのニーズに特化したリモートアクセスツールを紹介します。
リモートアクセスツールを選ぶ際には、各方式の特徴を理解し、自社が重視するポイントに合うものを選びましょう。
それぞれ以下の条件で選定しています。(2023年6月6日調査時点)
・ISL Online…「リモートアクセスツール」で検索しヒットしたリモートデスクトップ方式ツールでお試しプランのある上位10社のうち機能が最も多く、セキュリティ対策としてSSL 256bit-AESを採用。
・Desktop VPN…「リモートアクセスツール VPN」で検索しヒットしたVPN方式ツールでお試しプランのある上位10社のうち機能が最も多く、セキュリティ対策としてRSA 1024 bitによるSSL暗号化技術を採用。
・LANSCOPE…「仮想デスクトップサービス」で検索しヒットした仮想デスクトップ(VDI)方式ツールでお試しプランのある上位10社のうち機能が最も多く、外部セキュリティ管理ツール等と連携が可能。