遠隔地にある端末からのアクセスを可能とするリモートデスクトップは、不正アクセスやアカウント乗っ取りといった、サイバー攻撃を受けやすいのがデメリット。IDやパスワードを無断で使用し、サービスや情報にアクセスするといった被害です。情報漏洩や顧客情報の流出にもつながり、企業の信用問題に関わります。
リモートデスクトップの多くは、さまざまな端末から社内PCへのアクセスを可能としています。それゆえに、情報漏洩のリスクも高め。社内PCのデータを接続先のPCに保存できるといった設定をしている場合、データが保存された端末・USBメモリ等が紛失・盗難に遭ってしまったとしたら、情報漏洩につながるのです。
リモートデスクトップの被害として多い、利用端末にマルウェアやランサムウェアをインストールされるといった被害。IDやパスワードを割り出されて不正ログインされるだけでなく、サーバーを乗っ取ってネットワーク上の端末を攻撃するといった被害も報告されています。ウイルスに感染した場合、端末は使用不可となり、業務が立ち行かなくなる恐れもあります。
リモートデスクトップのセキュリティ対策のひとつに、多要素認証が挙げられます。これは、一般的なID・パスワード認証のほかに別の認証要素をプラスする方法。PINコード、秘密の質問、ICカード、ワンタイムパスワード、アプリ認証などを組み合わせて使用します。
複数の認証を設定しておけば、万が一不正アクセスによってID・パスワードが流出したとしても、端末やシステムへのログインを防ぐ効果が期待できます。
リモートデスクトップでアクセスできるIPアドレスを制限する、ログインの試行回数を制限するのも対策のひとつです。指定されたIPアドレス以外からアクセスできないようにすれば、不正ログインなどのトラブルを防ぐ効果が高まります。
ログイン試行回数の制限とは、ログインに失敗できる回数を指定すること。これにより、サイバー攻撃による総当たり攻撃を防ぐ効果が期待できます。
システムを使用する従業員に対する、セキュリティガイドラインを策定するのもひとつの手段です。これは、リモートデスクトップなどのシステムを利用する際のセキュリティについて、一定の決まりを作っておくこと。
どの従業員でも理解できるよう、分かりやすく内容をまとめることが重要です。また、セキュリティに関する企業内研修を実施し、理解や認識を高めることも大切です。
リモートアクセスツールとは、遠隔にあるPC端末・サーバー等にアクセスするためのツール。他のユーザーと端末の画面を共有できるほか、遠隔地から端末の操作も行うことができます。このリモートアクセスツールには無料版と、購入して利用する有料版があります。
どちらも導入コストや手間がかかりにくいのはメリットですが、注目したいのはセキュリティ面です。とくに、無料のリモートアクセスツールはサイバー攻撃の標的にされやすい3389番ポートを開放するケースが多く、リスクが高め。個別にセキュリティ対策を講じるとしても、その手間とコストがかかります。
企業としてリモートアクセスツールを使用するのであれば、高いセキュリティと充実した機能を搭載した有料ツールがおすすめ。有料ツールでしっかりとセキュリティ対策をすることは、企業の社会的信用を守ることにもつながります。